Sideway With Γ

ガンマ乗りへの序章

---バイクという乗り物に興味を持ったとき、

RG-Γの時代だった。

---バイクに乗ることが出来るようになったとき、

RGV-Γの時代だった。

そしてまもなくΓが手元にやってくる---

ドカ乗りの脇道、Γ乗り体験の始まりである。

「じゃじゃ馬」---バイクの特性の形容で、こう呼ばれていたバイクがある。それがΓだ。年代を経て様々にモデルチェンジしながらも、常にそのスタイルはアグレッシブであった。

しかし、この男が最初に手にしたバイクはホンダのスカイ。スクーターである。しかも、地域の情報紙で近所の方にタダで譲ってもらったのである。しかし乗った。3.6馬力のエンジンはお世辞にもパワフルとは呼びがたかったし、容量の小さいバッテリーはいつも心許なかった。それでも、手塩にかけて維持している間に、なんとなくキックのコツもつかめてきたりした。なによりコストがかからないのが良かった。チューンするわけでもなく、エンジンオイルもホンダ純正2ストオイルでまかない続けていた(バイク用品店で格安で手に入る)。

次にこの男が手にしたバイクはやはりホンダのVT250FE。4ストでありながら超高回転型のエンジンで峠で2スト勢を追い回せるという話だが、峠を走り込まない男にとってはあんまりどうでもいいことであった。フレームがふにゃふにゃしなやかで、トルクフルなエンジン、迫力のある排気音は心地よかった。

そして大型免許取得。

これに前後して、この男はさるルートからVツインマグナを入手。キャブの不調をバイクショップでO/Hし、その効果を確かめに行った箱根の峠でステップをする。

「ダメだ、俺には乗りこなせない」

そう思ったかどうかは定かではないがあっさり手放す。キャブのO/Hと徹底した磨きにより予想外の高額で売れていった。

この資金を元手に、さらにVT250FEも手放し、そして手にしたバイクがドゥカティのSS900だった。イタリアの真っ赤な駿馬である。SS900は、ドゥカティのなかでも水冷4バルブの最高グレードではなく、空冷2バルブで若干オールラウンダーに振ってあるモデルだ。Vツイン2台を手放してLツインを購入するあたり、この男はもはやツインのエンジンでないとダメなようだ。

SS900はこの男のお気に入りとなり、非常識な手間と金で鍛え上げられた。そして、定番の爆音マシンと化す---。

定番の爆音マシンは家の近くでは始動できない。深夜・早朝の出動は気が引ける。なにより近所に出かけるときは車通りの多い道路まで押していって暖機している間に、歩いてついてしまうだろう…。

SS900が定期点検でライダースクラブに行っていて乗れない間、調子の悪い弟のJazzを乗り回しながら男は考えた。このJazz、弟が乗らないから売ってしまおう、と言い出したので、手持ちのあまりケミカルで軽く磨いてやったのだが、いつまでも売ってしまう気配はない。かといって調子の悪いこのJazzを自分の手間と金をかけてメンテするのもどうかと。そもそも、50ccのカブのエンジンを搭載していて、エンジン周りがどノーマルのこの車体、スピードは出ないし、パワーもない。ボアアップしたりビッグキャブをつけたりするのも論外である(人のバイクに金つぎ込んでもなあ。売るって言ってるんだし)。

そういう状況で、男は、SS900が手元にない間のアシがわりになる、手間暇かけてやってもいいバイクがあってもいいのでは、とむくむくと思い始めた。

「そうだ、セカンドバイクを買おう」

男は考えた。セカンドバイクなんだから、静かなほうがいいな。それと、メンテが手間にならないヤツ、あと、車検がないように250ccまでかな。

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最終更新日: 2018年8月13日

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